オフィス・ラブ #∞【SS集】
「マジなんだ」
もう一度触ろうとする堤さんを、新庄さんがぶん殴る勢いで振りはらう。
その時、堤さんが何かに気がついたように、新庄さんの襟に指をかけた。
鎖骨のあたりまでボタンを外しているワイシャツを、人差し指でぐいっと割り、横からのぞきこむ。
「お前、今日、下に着てないの」
「これ、厚手だから…」
言いながら、新庄さんもはっと思い当たったようで、襟元を押さえる。
私も思い当たった。
バカバカ、新庄さんのバカ。
にやりと笑って、堤さんが私たちを見る。
私はもう、これまでにないくらい赤くなっていただろう。
新庄さんもさすがに気まずそうな顔をして、目を泳がせた。
堤さんは、会心の笑みで、ゆっくりとほおづえをつくと、私たちを交互に見て、それはそれは愉快そうに言った。
「24時間見てたわけじゃ、ないんじゃん」
Fin.
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thanks : みわ様/桜夜様/ちい様/umeko様