オフィス・ラブ #∞【SS集】
「あんたは、どうなの」
「俺? もうすぐ結婚する」
えへ、と笑う友人は、目も当てられないくらいにでれでれで。
時が流れた、と感じた。
ドリンクのおかわりをやめて、そろそろ会社に戻ることにした。
友人と別れ、痛いくらいの日差しの中を、駅に向かう。
一緒に暮らして、半年たった頃には、ふたりの間にある溝を意識していたから。
私の中の貴志は、冬の記憶とともにある。
こんな陽の下で汗ばむ彼の肌を、私は思い出せない。
今さら、ごめんなんて、言わないけど。
でも、ごめんなさい。
あなたが、私との別れで傷ついてくれてるといい、と、そう思ってしまうことを、謝ります。
ここまで来ても、捨てられないプライド。
面倒な女を選んじゃったね。