オフィス・ラブ #∞【SS集】
王室御用達のクリスタルブランドのグラスという、うらやましい景品を当てたその人は、7部時代の同僚らしく。
新郎新婦にひと言どうぞ、と新婦本人にマイクを向けられ、「堤が浮気したら局内にメール展開して、社会的抹殺をはかります」と笑いをとったのだった。
堤さんのぼやきを受けて、浮気ってどこからですかねえ、となんの気なしに発した俺の言葉から、いつの間にか、すっかり話題がそっちに飛んでしまった。
シャンパングラスを傾けながら、堤さんがほおづえをつく。
「俺は、けっこう心が狭いんだよなあ」
「石本さんが、男とふたりで食事とかしたら、どうですか」
「ま、面白くはないよね」
軽い口調だけど、たぶんこの人、そういうの許さなそう。
まあ俺も、必要ないのにふたりっきりとかになられたら、嫌だな。
「でもお前、自分はそれ、やるだろ」
「そこなんだよ」
くわえ煙草で、背もたれにだらりと背中を預けて、ふうと息をつく。
「石本さん、そういうのうるさいですか」
「意外と冷静に非難するタイプだね」
「きついな…」
水割りを飲みながら、新庄さんが同情するような視線を送る。
確かに、ああいうにぎやかな感じの人が冷ややかになる時が一番怖い。
「別に俺、向こうになんの気もないのに」
「じゃあ、やめたらどうですか」
「こいつの技なんだよ、そういう相手を使って、いろいろ裏で動かすのが」
あ、なるほど。
俺をマーケで研修させてくれたみたいにか。
言葉悪いけど、手駒ですね。
でもそれ、奥さんには通じないと思う。
新郎新婦にひと言どうぞ、と新婦本人にマイクを向けられ、「堤が浮気したら局内にメール展開して、社会的抹殺をはかります」と笑いをとったのだった。
堤さんのぼやきを受けて、浮気ってどこからですかねえ、となんの気なしに発した俺の言葉から、いつの間にか、すっかり話題がそっちに飛んでしまった。
シャンパングラスを傾けながら、堤さんがほおづえをつく。
「俺は、けっこう心が狭いんだよなあ」
「石本さんが、男とふたりで食事とかしたら、どうですか」
「ま、面白くはないよね」
軽い口調だけど、たぶんこの人、そういうの許さなそう。
まあ俺も、必要ないのにふたりっきりとかになられたら、嫌だな。
「でもお前、自分はそれ、やるだろ」
「そこなんだよ」
くわえ煙草で、背もたれにだらりと背中を預けて、ふうと息をつく。
「石本さん、そういうのうるさいですか」
「意外と冷静に非難するタイプだね」
「きついな…」
水割りを飲みながら、新庄さんが同情するような視線を送る。
確かに、ああいうにぎやかな感じの人が冷ややかになる時が一番怖い。
「別に俺、向こうになんの気もないのに」
「じゃあ、やめたらどうですか」
「こいつの技なんだよ、そういう相手を使って、いろいろ裏で動かすのが」
あ、なるほど。
俺をマーケで研修させてくれたみたいにか。
言葉悪いけど、手駒ですね。
でもそれ、奥さんには通じないと思う。