嘘と本音と建前と。
香織を見ると少し寂しいそうに笑っていた。


その表情は本物なのだろうか。


「話してみてよ、関西弁。家では話してるんでしょ。」


肘をついて香織のことに微笑みかけた。


「そうですけど。関西弁イコール可愛いって勘違いしてませんか?

本当にそんなことないですから。」


気が進まないのかイエスと頷いてはくれない。


「んー、標準語よりは可愛いよ。ほら、早く。3、2、1」


「え、ええっと本日は晴天なり?」


慌てながら口にしたのはマイクテストだった。


「それ関西弁じゃないよね。」


するとむっとした表情で香織が司を睨んだ。


「いきなり言われてやれる方がおかしいと思いませんか?」


香織は感情が昂る(たかぶる)と関西弁になるらしかった。


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