嘘と本音と建前と。
「へー。可愛いじゃん、関西弁。」


司は煽るように口角を上げた。


「関東弁に言われても嬉しくないです。」


口を尖らせ、香織はそっぽを向いてしまった。


「不機嫌なとこ悪いけど関東の人は関東弁って言わないよ。」


司は香織に追い打ちをかけた。


すると先程よりも怖い顔つきで睨まれてしまった。


「藤堂先輩は人をからかうのが好きなんですか。」


予想外の言葉に目をぱちくりさせた。


「そんなことを僕に言ってきた人は染谷さんだけだよ?」


香織の眉間のシワが深くなった。


「先輩の周りの人は何を見てるんですかね。」


語尾を強めてぷいっとまたそっぽをむかれてしまった。


司は香織の子供らしさに吹き出してしまった。


「先輩は意外と子供ですよね。」


香織が目だけを向けた。


その言葉で空知を守ろうとするあまり、どんどん自分が香織に対して

素に近付いていることに気が付いた。


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