嘘と本音と建前と。
香織に意味あり気な笑顔を向けられた。


司は不信感をあからさまに顔へと出した。


そして最初から気になっていたことを香織へ聞くことにする。


「なんであの時俺に声をかけた。」


香織は何を今更という顔をしてから頬杖をついた。


「先輩は自分から声かける方の人やなさそうやったからですけど。」


「は?」


答えになっていない。


司はもったいぶる香織への苛立ちを眉間のシワへと出した。


「やたら見てくると思って声かけても嬉しそうにすらせえへんし、

なんでなんやろうって。それでもあれだけ見てくるってことは

多少強引なことしても断らへんやろうなって思ったんです。」


香織は苛立っている司に臆することなく淡々と説明した。


「それで先輩。うちは合格ラインに達せたんですか?」


堂々とした顔つきのまま香織は首をかしげた。

< 117 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop