嘘と本音と建前と。

からかう口調で言ったのに司は真面目な顔で

｢守ってあげたいくらいだよ。｣

と口にした。


そういうところも似ている。


そしてまた香織は辛くなる。


人を騙すことが得意になっていた筈なのに司の前に出るとどうしても

隠しきれない場面がある。


｢先輩は好きな人いないんですか。｣


何気なく聞くと真剣に考え込んだ。


｢いない。ただ大事な子はいる。恋愛感情じゃないけど。｣


いないとだけ言えばいいものを先まで言ってしまうあたり素の部分は

正直なのだろう。


｢大事な子って空知さんじゃないですよね？｣


一応確認してみる。


｢うん、染谷さんと同い年の幼なじみ。学校は違うけどね。｣