嘘と本音と建前と。
西日が本の天を焼いている。


図書委員が香織たち付近の木製ブラインドを閉めようと近づくが

迷っているようだ。


香織は黙ってブラインドを閉めた。


司は図書委員の方へ振り返り、納得したのか会釈してから

ブラインドを閉めた。


香織と司が同時に図書委員を見ると、慌てて会釈し

反対側の窓の方へ消えた。


「家どこ?」


司はブレザーの右ポケットから何もついていない自転車の鍵を出し

あることを確認してからまた戻した。


「うち、この辺やありませんよ。」


スクールバックを肩にかけた。


「俺も。」


自転車の鍵とは反対方向のポケットから定期券入れを取り出すと

中を開いて香織に見せた。


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