嘘と本音と建前と。
「ほなね、先輩。」


香織は電車から飛び出した。


振り返ると車窓越しに司が見えた。


司はもう香織のことは見ていなく、本を読んでいるらしかった。


香織は電車が発車するのを見届けてから改札をくぐった。


昼休み、放課後にも行くことになる図書室で本を借りた。


司か香織かしか使わない机で借りたばかりの本を読みだした。


友達の朱音とは文化祭もまわる仲だが昼休みはバラバラの

行動をとっている。


「やっぱりいた。」


顔を上げると司が立っていた。


香織は驚き、読んでいる本を閉じてしまった。


「放課後空知連れてくるからって言おうとしたんだけど、

驚きすぎな。読んでるページ確認せずに閉じただろ。」


香織はページを捲り、いつもの栞を挟んだ。


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