嘘と本音と建前と。
「幼なじみと中学生のときに。遠慮すんな。こんなに素で話せるやつ、

簡単に手放したりしねーよ。」


司が机に突っ伏してから言った。


「じゃあ、なんで。」


伺う様に聞くと司の背中が震えだした。


香織は思考が停止してしまった。


まばたきを繰り返していると司の目が覗いた。


「俺、幼なじみと喧嘩みたいなのしたんだよね。あとおどおどしすぎ。」


背中の震えは笑いだったのかと内心ホッとした。


それと同時にそんな理不尽な約束を忠実に守る司に違和感を感じた。


「好きな人できたことないから守れた約束だけどな。」


好きな人なんていない方がいいに決まっていると思っても

香織はそれを口に出さない。


「それはそうかもしれませんね。」


香織は司の目を見ずに笑った。
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