嘘と本音と建前と。
放課後になり予定通り司が空知を連れて図書室にやって来た。


空知は真っ赤な顔をして俯いている。


空知は香織が予想していたよりもずっと顔が整っていた。


これほどの容姿なら別に香織である必要を感じない。


「ほら、空知。」


入室して真っ直ぐ香織の元へ来たのに一言も話さない空知へ

司が促した。


空知は肩を跳ねさせた。


「えっと空知廉です。ば、バレー部です。え、こんな感じでいいの?」


慌てながら司に聞いている。


「いいよ、そんな感じで。大丈夫だから。」


司は笑いながら空知の肩を叩いた。


安心したような顔になった空知を見てまるで司は親鳥だな

と思わず笑みを零してしまった。


「染谷香織です。司先輩と仲良くさせて頂いています。」


わざと司の名前を呼んでみたが言われた本人は案の定、目を見開いている。


それに対して空知は「よろしくねぇ。」と呑気な声を出していた。


これぐらいすれば距離感が出るかと思ったが空知には通用して

いないようだった。


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