嘘と本音と建前と。
しみじみした様子で空知がゆっくりと何度も頷いた。


「僕がバレー部に入ると思ったの?」


馬鹿にしたように司が聞いた。


「押したらいけるかなぁって思ってたよ。」


空知はガッツポーズをして真っ直ぐ司を見た。


司と香織は同時に吹き出した。


「な、なんでそんなに笑うんだよ。」


焦りながら聞いてくる空知にさらに可笑しさが増す。


「ふたりして酷いなぁ。」


そう言いながら空知も司と香織と同様に笑った。


香織は空知といて楽しいと実感している。


香織を好きであっても好きでなくても空知はこういう

人柄なんだろうと思った。


こういう人は全てを自分のありったけの器量で受け止めてくれると

香織は信じている。


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