嘘と本音と建前と。
空知にならきっと素を出せるだろうに司は少しの猫を被ったままだ。


それが不思議で堪らない。


そんなことを今聞けるはずもなく、香織は話題を変えることにした。


｢そうだ。チョコレートが好きな先輩にプレゼントです。｣


香織はスクールバックからブラックチョコレートが1ダース（12個）

入った箱を取り出した。


｢空知さん、チョコレート大丈夫ですか？｣


目を輝かせている空知に聞く必要はなさそうだが一応確認しておく。


｢うん。大好き。｣


子供のように無邪気な笑顔だ。


包装紙に包まれたチョコレートを2つずつ司と空知の前に置く。


空知も司もお礼を言った後、チョコレートをブレザーの

ポケットにしまった。


香織は箱をスクールバックにしまった。


目を盗んで食べてしまう訳でもない空知は常識人らしい。

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