嘘と本音と建前と。
空知が司を見上げた。


「ありがとう。」


空知のお礼を司は微笑みで返した。


司の空知へ微笑む時の細くなる目の優しさは例えるなら荒い子供が

子犬を触る時に似ていると思う。


香織は席に戻り、立ったままブレザーを羽織る。


ブレザーの下から指定の白セーターの袖を伸ばした。


司と空知が戻ってきた。


「そろそろ帰りましょうか。」


香織は椅子においてあるスクールバックを持ち上げて机に置いた。


「そうだね。」


司が椅子にかけてあったリュックを背負った。


それに続いて空知が背負う。


「あ、の自転車?」


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