嘘と本音と建前と。
「ですよね。」


香織はため息をついた。


香織は空知を見ようと振り返ると図書室のドアに肩をぶつけていた。


「なにやってるの。」


司が声をかけると空知は手の甲で顔を隠した。


よく見ると耳まで真っ赤になっている。


可愛い人だなと香織は思った。


「染谷さんに笑われてるよ。」


驚いた顔をして空知が顔を上げると香織と目があった。


空知はすぐに目をそらし今度は手のひらで顔を覆った。


「もうホントやだ。」


とぼとぼと空知が香織と司の元へ歩いてきた。


「今のホントなしで。見なかったことにして。」


「はいはい。」


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