嘘と本音と建前と。
そう言う以外どうしたら気を使わせないかわからなかった。


「次曲がるよ。」


司がある程度先に道を教えてくれる。


この道は昨日帰った時とは異なっていた。


学校以外この辺りの土地勘がない香織は黙ってそれについて行った。


ある程度進んだところで見慣れた道と合流した。


一旦そこで司と空知が自転車を止めた。


どちらかの甲高いブレーキ音に引きずられ香織も慌ててブレーキを切った。


不快そうな顔を上げて、司が空知の顔を見た。


「じゃあね。」


そう言って空知に手を振った。


「おう。あっと...そ、めやさんまたね。」


手を振る空知の表情には不安が滲んでいた。


「はい、また。」


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