嘘と本音と建前と。
こんなことを司に言うと気持ち悪がられるが、悪戯っぽく笑う司の顔は男の空知ですら虜にしてしまう破壊力がある。


「どうせまた缶コーヒーだろ?わかってる」


呆れた空知は苦笑い気味に答えた。


「なら、よし。」


今度は満面の笑みだ。


どこまでもずるいやつだな、と空知は神様を少し恨んだ。


本人は気付いているのかは知らないが、廊下を司と一緒に歩くと当然のように真ん中に道が用意される。


何処で誰に習ったわけでもないのに誰もがそうする。


そういう瞬間、司との差を感じ空知は惨めな気持ちになる。


折りたたんだ横断幕を小脇に抱えて歩く司を斜め後ろからそっと空知は見た。


細身に少し大きめの指定白ベストを司は着こなしている。


白と紺と茶色がある中、一番人を選ぶ白をサラッと着こなすなんて羨ましい。


空知は自分の着ているワイシャツの胸元を握り潰した。


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