嘘と本音と建前と。
ふと空知がたしか運動部だったと思い出す。


バレーボール部と言っていたはずだ。


香織は目を凝らして空知を探してみた。


校舎周りを走っているのは一つの部だけではないようだ。


ユニホーム姿のバスケットボール部と野球部以外どれも同じに見える。


空知を探し始めた香織だが気が付けば知っている同級生を順に

目で追っていた。


「空知は中だぞ。」


背後から急に声がかけられた。


香織の背筋が伸びた。


「そうですか。別に見てませんでしたけど。」


振り返らず正門の枝垂れ桜を見下ろした。


そのタイミングで空知らしき人を見つけた。


平然とした顔で司が香織の隣に立った。


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