嘘と本音と建前と。
司が長身なのに対し、平均より少し小さめな空知はよく比べられたりもする。


それが何よりも嫌だった。


でも一部マニアックな腐った女子と書く人達には賞賛され『神に見初められた受け』などと呼ばれているが、空知はちっとも嬉しくなかった。


黒髪のさらさらストレートに黒目がちな大きな瞳、整った鼻と男のくせに色気のある口、外国人の血が一滴も入っていないなんて誰が信じようかと空知は司を睨み上げた。


すると司は急に立ち止まり教室の扉と窓の枠に手をかけた。


司は「そういえば」と振り向き、空知は慌ててそっぽを向く。


「放課後の校内デートはどこから回る?」


その言葉を耳にした腐女子グループがざわざわとする。


「ば、おま、誤解されんだろうが。」


慌てて訂正する空知だが、顔を赤くして手をぶんぶん振っている姿は照れているようにしか見えない。


腐女子の反応を見て面白がっている司は調子に乗った。


「照れなくていいのに。で、人気のないところがいいよね。図書室とかにする?」


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