嘘と本音と建前と。
荷物の大きさからいって大変そうだったから替わろうという単純な

思考だった。


「あっそ。じゃあ俺も立つ。」


司が香織の横に立つと「それじゃ意味が無い。」と怒られてしまった。


「でも本読むのにカバンは邪魔だろ。」


吊革の1番短いものを掴んではいるが腕が直角になる。


この体勢は二の腕が疲れる。


「まあ、そうですけど。」


香織は顎を引いた。


「カバンだけ置く?」


司は冗談を言ってみた。


「それなら座った方がマシです。」


香織は眉間にシワを寄せながらも笑っていた。


「ほら座れ。」


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