嘘と本音と建前と。
ここで必死に否定したって絶対司にかなわないことは明白だった。


頑張って訂正したところで今までの蓄積があるため、状況が変わるはずもない。


何もできない悔しさに空知は覚えておけよと言わんばかりに睨んだ。


そんなことよりあの子が今日、図書室に居たのがたまたまでなければ司の人脈を使って司書に聞けば一発だろう。


それで許してやろうと空知は考えた。


「図書室、行こう」


「図書室から、ね。回るんでしょ?二人で。」


司の後ろからやばいやばいとか、やっぱりデキてただの聞こえてくる。


司はそれを背中で受け止め、笑っている。


「馬鹿野郎。」


油断している司に溝落ちを食らわせそれが綺麗に入ったため、気持ちは少し晴れたということにしてやる。


放課後の図書室。


ことはそううまくいかない。


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