嘘と本音と建前と。
司書の言葉に最初傷付いた空知だったが、身長のことはもう忘れ「染谷さん」のことで頭が一杯になった。


空知は例の「後輩かもしれない染谷さん」のことについてもっと聞けと目を輝かせ司に合図を送る。


司は空知を見てさっきと同じ呆れ顔をしたが、ハイハイといったような目をしたのを空知はしっかりと確認した。


「その染谷さんのクラスってわかりますかね。ハンカチを拾ったので返したくて...顔しか確実な手がかりががなくって。」


そんなものをいつの間に司は拾っていたのだろう。


何時でも仕事が早い司はそんな事までも可能なのかと空知は驚きを通り越して唖然とした。


「えっとね....そうそう英語科だから7組だったはず。」


司書は貸出用一年と書かれたファイルを開き確認しているように見える。


空知は壁棚から図書室の入口すぐのカウンター前の所にいる司の後ろに立った。


空知の予想は当たりだった。


以前図書カードを作らなくても生徒全員分の名前とクラス番号、貸出バーコードが記入されているファイルが学年ごとにあると司に教えて貰っていたのだ。


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