嘘と本音と建前と。

『一目惚れ』



夏休み明けの学校は面倒臭い。


二週間後に控えた文化祭に向けて不真面目だった奴らが張り切りだししゃしゃり出る。


文化祭が終わったあかつきには我が物顔でしてやった、と鼻を高くする。


そんな光景を想像、いや予想して司は苛立つ。


廊下で馬鹿騒ぎをしながら備品を作る不良たちの声が余計腹が立つ材料となった。


内容もない、それなとマジでで成立する会話に何の意味があるのか彼等に聞きたい。


あまりにもうるさい廊下の談笑に教室内の空気が負に満ちていくのを司は感じた。


文化祭委員の田中が持っていた刷毛(はけ)を地面に叩きつけ、ずんずんと廊下の方めがけて歩いて行く。


始まった、と心の中で教室内の誰しもが思った。


田中は怒ったら誰にも手がつけられなくなる眠れるメデューサだ。


クラスメイトの背中に緊張が走った。


なんせ田中の怒鳴り声は100デシベルをゆうに越える。


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