嘘と本音と建前と。

『演技』

文化祭の練習が丁度終わったのか先輩達が自動販売機の前で

たむろしていた。


パフォーマンスが課題と言っても何処のクラスも基本ダンスの

三年生は一段と気合が入っているから文化祭の中で

司は今年も一番楽しみにしている。


三年生は何処のクラスも時間を惜しんで練習しているらしく

甲乙付け難いことで教師陣からも評判だ。


司の学校は毎年九月半ばの水木金を文化祭に割いている。


三日もあるように見えるが金曜日はただの後片付けで終わり

次第授業だから平日と何ら変わりない。


文化祭は一般公開すらしておらず保護者と卒業生外立入禁止、

極め付けは模擬店を一切していない。


漫画や小説で夢を描いたあの光景はこの学校に入学した時点で

もろく儚く散った。


現実は常に苦いと司は思う。


ランチルームと名付けられた小屋のような小さな購買の側面に

並べられた自動販売機四つにそれぞれ先輩方が並んでいる。


買う缶コーヒーの自動販売機の前に並んだものも一人の先輩が買う度

その友人が横入りし買うので中々順番が来ずにいた。


スリッパの色を見て舐められているのだろう。

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