嘘と本音と建前と。
密閉空間に閉じ込められていた体育館から外へ抜けると新鮮な空気が

司の胸いっぱいに入ってきた。


九月半ばなせいで体育館は窓も戸も閉め切り、遮光カーテンまでする

始末だ。


司は額に滲む汗を腕で拭った。


急に外がざわついた。


司は不思議に思い音の方向へ向かう。


体育館の横にある扉から香織のクラスが大道具やら小道具やらを抱えてざわざわと出てきた。


劇で使った道具をそのまま隣の剣道場へ運び込む。


司は去年同じ事をしたとうっすら思い出していた。


道具係の後から役者陣が出てきてその中にもちろん香織もいた。


「空知、後輩いるよ。」


後ろから司を驚かそうとしていた空知は吃驚した顔をする。


司を驚かそうとするのなんて空知ぐらいだ。


「見てけば?僕が田中さんにサボリじゃないって言っておくから。

集合写真撮り終わったらかえってきて。」


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