嘘と本音と建前と。
米倉の顔を見ると眉を八の時にさせて目を細めていた。


空知は二番目の補欠で本来代走を走るべきなのは米倉だ。


怪我はしてなさそうだがなにか特別な理由があるのかもしれない。


何かあったのかと聞きたいところだったが空知は何も聞かずに承諾した。


米倉が去った後空知は司の方へ向き直した。


「なあ、なんでだと思う?」


司は本から視線を外さないものの表情が動いた。


「なにが?」


すぐに無表情に司は戻り本を読み進める。


「誠。変じゃね?」


先輩のことが好きで試合の度に声を張り上げて人一倍応援するようなやつが

先輩と協力できる最後のチャンスだというのにおかしいと空知は思う。


「米倉にだって悩み事だか隠し事はあるんじゃないの。

詮索はしない方がいい。」


読んでいたページに栞を挟むと司は本を閉じて鞄にしまった。


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