嘘と本音と建前と。
「え?」


空知が司の方を見ると司は空知でも米倉でもない方向を見ていた。


「ヒント!ヒントは?」


司が空知の方をじっと見た。


空知がさらにお願いをする様に手を合わせ片目を開けてみたが

司の意思は変わらない。


その後空知が何度言っても司は答えを教えてはくれなかった。


退屈な体育祭開会式を終え、空知はレーン前にいる。


代走を走ることになるなら個人種目を障害物競争に

変えてもらえばよかったかなと後悔していた。


ふと隣で準備運動をしている米倉を見て、昨日のことを思い出した。


結局なんだったのだろうか。


振り返り後ろにいる司を見ると涼し気な顔をしていた。


興味の無いくせに司は気づいていて、自分だけ考えているなんて

空知はなぜだか酷く不公平な気がした。


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