嘘と本音と建前と。
声の聞こえる方へ行くと藤井と米倉がいた。


「いいじゃん、別に。誠に関係ないよ!」


クラスでは全く絡んでいない二人が下の名前で呼びあっている。


その状況を遠目から見ていると司が二人の目の前でくつろいでいる
のが

目に入った。


この学校は校舎が無いところには植物を埋めたい考えがあるようで

校舎とアスファルトの境目に椿やら山茶花やらツツジやらが植えてある。


司は校舎と植物の間に座って本を読んでいた。


二人からはきっと見えていないだろうが空知からは見え見えだ。


空知は校舎に張り付くようにしながら司の元へにじり寄る。


「それは...そうだけど。あいつ彼女いるから、その...」


その間もちろん二人の会話は続くため見つからないよう空地は

慎重に足を動かす。


「なにそれ、聞いてないよ。馬鹿!」


ジャリっと音がなったが藤井の気が立っているせいか気付かれていない。


< 72 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop