嘘と本音と建前と。
米倉との会話で藤井が出てきたことなんて一度もない。


部活も一緒で今まで司の次ぐらい一緒に居たのに全然知らなかった。


司が空知の顔をのぞき込んだ。


｢まあ周りには言ってないらしいけど。｣


司はしれっとした顔で空知の手から本を抜き取った。


｢隠してるみたいだから公言しないようにね。｣


栞の部分から司が本を読み始めた。


｢う、ん。｣


何をするわけでもなくただ本を読む司の隣で昼休みの放送が

入るまでぼーと過ごした。


空知は司と軽くご飯を食べてから格技場へ行き、速攻で着替えた。


それなのに先輩との約束の時間ギリギリに着いた。


もっと計画性を持って行動するべきだと司によく言われる。


それを思い出して空知は渋い顔をする。


先輩との集合場所に米倉は来ていなかった。
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