嘘と本音と建前と。
頬を膨らませたまま司を見上げる。


「もっと早く言えよ、バカ!」


空知は司の目の前にいじけるように座り込んだ。


「ごめん、ごめん。本に集中してて。」


司に頭を軽く二回叩かれた。


「...藤堂が悪いわけじゃないし。でも...。」


八つ当たりだと自覚があるものの、かなり惜しいことをしてしまった

自分の気持ちをほかにやるところがなかった。


「午後からの学年別団体競技で必死に探せば見つかるかもね。」


顔を上げ司を見ると優しい顔で微笑んでいた。


「探すの手伝ってね。」


お願いをするも

「やだ。僕、団体競技終わったらあそこで本読むつもりだから。」

と即答で断られてしまった。


そっぽを向いて頬をふくらませていると上から吹き出す音が聞こえた。


空知が見上げると司が口元に手を当て笑っていた。


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