嘘と本音と建前と。
「空知は見つけるの下手そうだから手伝ってあげるよ。」


笑いを抑えながら言っているつもりなのだろうが司の声は震えていた。


「見つけれたら、文化祭のとき奢り損ねてたの奢ってよね。」


見つけられなくても今日中に奢るつもりだったりしたが

それは口に出さない。


「三年の団体競技のとき、な。」


空知は立ち上がって司を見下ろした。


いくら司の背が高いと言っても、座っていると断然空知の方が高くなる。


細身なせいか、色白なせいか普段よりも空知の目には

随分と小さく見えた。


「うん。というか、いい加減椅子に座りなよ。僕の隣の席田中さんだけど。」


田中席をポンポン叩きながら司が笑っている。


そんな席に座ったらのちのちが怖いに決まっている。


「俺は、立ってるのが好きだから。」


司の右側の目にかかる前髪から覗く瞳に観察されている気持ちになる。


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