嘘と本音と建前と。
「な、んだよ。」


空知はその状況に堪らず声に出した。


「いや別に。いつも膝に乗ったりするのになと思って。」


教室では確かにそうかもしれないなと思い返す。


教室はうるさいしノリというものも存在しているが外でやってしまったら

クラスだけではなく全学年に勘違いされてしまいそうだ。


「何でもいいけどすっ転んだ時にピンがグチャグチャになってたよ。」


司はいつも直すと言ってくれるわけでもなく、ただ今更になって

教えてくれるだけだ。


ピンだけのためにわざわざ遠いトイレに行くのも億劫で、

勘を頼りにサイドを留めた。


触った感じはいつもと変わらない。


「なあ藤堂。変?」


空知は司に左側を向いて見せた。


司は少しだけ見上げたか思えば、すぐにグラウンドを見て別にと言った。


なんとなくだが男子は全然真剣に買い物に付き合ってくれないと嘆く

女子の気持ちがわかったような気がする。
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