嘘と本音と建前と。
空知は米倉に言われて散々な結果だったのを思い出した。


「見、見てたのかよ。」


「いや、藤堂に聞いた。」


後ろにいる司の方へ振り返ると口元に手をやり、俯いていた。


「お前!!」


司の髪を乱してやろうと飛びかかっていくと逆に返り討ちにあった。


せっかく留めたピンも、もう一度留め直す羽目になる。


せっせととめ直していると司が米倉の方へ行き二人ともぼそぼそと

話していた。


二人でぼそぼそと話すということは藤井のことだろうか。


空知はわざと時間をかけてピンを留め直す。


留め終えてもまだ話しているようで近付けない。


空知はそわそわと離れたところからふたりを見ているとそれに気付いた

司が手招きをした。


「空知と自販機行くつもりなんだけど米倉もどう?」


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