嘘と本音と建前と。
頭を傾ける腕の隙間から手のひらを見た。


司の手には震えていないのに冷えとは違う冷たさがあった。


掲示物に人が目を通しているのかもわからず1週間が経った。


今日は6限目のロングホームルームを使い、選挙が行われる。


司はA4の茶封筒を片手に教壇の上に立っている。


3年の選挙管理委員長の放送を元に選挙が始まった。


次期生徒会メンバーを狙っている人々が個々のPRを述べるものの

クラスの大半は机の下で携帯電話をいじっているか寝ているかだ。


選挙管理委員会の司ですらその放送に耳を傾けてはいなかった。


選挙に真面目に参加したところで学校が変わるとは思えないが

正直なところだろう。



放送が終わり、投票まで終えほとんど信任の紙を一枚一枚

回収して回った。


空知の紙を見るとバツがいくつか書いてある。


真面目に話を聞いている一握りのクラスメイトの中に勿論のこと

空知を加えていた。


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