嘘と本音と建前と。
「あ。」


漏れた声を誤魔化すように司は図書室へと歩き出した。


階段を駆け上がる音が速くなる。


何段か上がった後、段差とは違う音がした。


同じ階に着いたのだろうか。


「あの、貴方私の知り合いでしたっけ。」


司の背中に向かってかけられた香織の言葉に思わず振り返ってしまった。


司の返答を待つ香織になんと言えば正解なのかわからない。


「どう、かな。」


何か早く言わなくてはいけないそう思って出た答えは濁っていた。


苦笑して答えた司に香織は複雑そうな顔をした。


「よくわかりませんけどいきなりすいませんでした。」


問い詰めることなく先に折れた香織は司に背を向けクラスの

方へ歩き出した。


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