嘘と本音と建前と。
腕のしびれで目が覚めた。


左腕にしている腕時計を見るとそんなに時間は経っていない。


あくびをしている薄目で前を見ると香織が平然とした顔で司を

見ていた。


司は目を見開き、そのまま硬直した。


「そんなに驚かなくても。」


司が起きるまで読んでいただろう本を香織はそっと閉じ、隣の椅子に

置いているスクールバックにしまった。


香織が現れる前、司は人の少ない図書室の一番人気のない机を

ひとりで占領していた。


図書室は放課後になると来室する生徒が格段に減る。


現在見えている範囲内でも10人はいないだろう。


司は眉間にシワを寄せ顎に手をやる。


「先輩、昼休みの委員会の時も変な顔してましたよね。」


頬杖をつきながら香織は首を傾けた。


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