きみに想う 〜赤の民族〜
それから毎日2人は

湖で会っていた

最初よりは表情が出てきた海斗だが

まだまだ感情を出すことは

苦手とし

雫もフードを目深に被ったままであった

「雫…なんでフード被ってるの?」

疑問を直接雫にぶつけると

固まったまま動かない雫に

言ってはいけないことを聞いてしまったと思った

目深なフードからチラッと赤い髪が

見えたことが原因であるだろうと

海斗には分かっていたが

直接雫から聞きたいという気持ちがあった

まだ早かったかと後悔していると

雫から話し始めた

「わたしは貴族が嫌い」

「うん」

「貴族だけど、海斗は違うって思ってる
だけど怖いの。わたしを知ってしまったら、周りのようにわたしを見るんじゃないかって」

雫の手がぎゅっと服をつまみ

震えているのが分かり

思わず手を握っていた

「どんな雫でも、雫には変わりないでしょ?
ごめん、嫌なら話さなくても…」

握ってない手で

パサっとフードを取ると

見事に輝く赤い髪があった

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