きみに想う 〜赤の民族〜
海斗は家に帰ると

ただ広いだけのシーンとした

部屋に

寝転んでいた

昔から自分付きの使用人である

星が部屋に入ってくる

「海斗さま、明日旦那さまがこちらにいらっしゃいます」

「そう」

ぺこりとお辞儀をして

すぐに星は部屋を出て行った

何か言いたそうなことには気づいていた

だけど何も言わない海斗を見て

そっとしておこうとしたのだろう

ベッドに横になったまま眠れず

何度も寝返りを打ち

深い溜息をついた
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