きみに想う 〜赤の民族〜
「雫!雫!どこにいる?」

「なぁに?どうしたの?怖い顔してる」

「父がこの街に来ている
あいつはタヤル族狩りを主に仕切ってるんだ
ぼくでは抑えられない、見つからないようにときみに伝えることしか出来ない」

今にも泣きだしそうな海斗の

必死な訴えに

雫の心がぎゅっと掴まれたように痛い

「私は大丈夫よ。強いもの
親と会って辛いのに、わたしを優先して心配してくれた海斗は優しい」

海斗の頭を撫で

海斗には分からないように

呪文を掛ける雫

自分はどうにかなる

心配なのは

また感情を無くしたような姿になる

海斗のこと

「わたしの力があなたの加護になりますように」

手を離すと

安心したように眠る海斗

雫は急ぎ家に戻った
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