きみに想う 〜赤の民族〜
「お嬢さんは、タヤル族をご存知かね?」

初老の品のある男性が

物腰柔らかく、雫に話しかける

「この国に住んでいて、知らない人はおりませんわ」

堂々とニコリとした顔で答えると

気味の悪いほど距離を詰めてきたため

男に分からないように

体にそってシードルを張った

触れようとしてきた手を光が弾く

タヤル族の仲間がいる方向へと

雫は走った

うまく誘いに乗ってきたようで

男はモタつきながらも

待ち構えていたタヤル族の男たちに捕らえられ

尋問を受けた

「なんかあっけない程簡単に捕まえて
すっきりしないんだけど」

「こんなじぃさんを送るって貴族は何考えてんだ?」

逞しい体つきで若い男のタヤル族に

捕まり、怯える様子も見て取れる

「ねぇ?この人本当に狩るために来たのかなぁ?怯えてるし、1人ってこともおかしくない?」

「確かにこのじぃさんは貴族だ。紋章を持ってたからな」

「まぁ人質とは言えないけど捕まったことが分かれば何かしら行動するだろ」

すぐに仕掛けてくることは

なくのんびりと待っていると

近くの一般の村が騒がしくなってきたことに気付き、1番身軽な雫が様子を見に行くことにした





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