きみに想う 〜赤の民族〜
官舎の部屋でひとりで

考えていると

黒い長めの髪に長身、涼しい目元が印象的な男が

部屋に入ってきた

「やらかしたようだね、兄さん」

ふっとした笑みをこぼし

やや馬鹿にしたような口調が海斗を

現実に戻した

「陸、なんでお前が官舎にいるんだよ」

「城に用事があって来たんだけど
地方での兄さんの暴れ話を聞いたからさ
どんな顔をしているのか様子を見に来たんだ」

「官舎にどうやって入ったんだよ?」

「えっ?普通に正面から入れてもらったけど?」

陸は海斗の弟であり

魔力を持たない海斗に代わり

家の後継者として城に努めている

何を考えているかわからない変なところがあるが

兄弟仲は悪くない

「なんで謹慎処分になったかは、今は聞かないでおくよ」

海斗の正面に椅子を引っ張り

向かい合わせに陸は座った

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