きみに想う 〜赤の民族〜
城門の衛兵に謁見状を八神が見せると

身体検査をさせられた後

門の奥へとすぐに通され

城の中の1室に待たされた

「なんでこんなにあっさり通されるわけ?
怖いんですけどー?」

ソファーに深く座り直す香那人

「このお茶にも毒などは入ってないようだけど
用心したほうがいいわ」

真顔で出された紅茶を分析し始めた里菜

静かに座って待つ八神だが

「確かにここまで何もないのがおかしい気がする、いいかこれからが本番だ!気を抜くなよ」

全員がうなづいたところで

扉が開き呼びに来たのは

長めの黒い髪で身なりの良い若い男

一瞬だけ雫はびっくりしたが

よく見ると海斗でないことに気づき

冷静を装って、みんなに続くと

里菜だけは気付いていた

「雫ちゃん、大丈夫?」

とこっそりと聞いてきたが

大丈夫と力強くうなづいた

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