きみに想う 〜赤の民族〜
階段状になった高い位置に椅子があり

王の姿は見えないように

薄い布のようなもので椅子周りが覆われている

タヤル族一向は

膝をつき頭を下げ、王に礼を取る

形式的な挨拶を代表して八神が述べると

本題へと入った

「タヤル族への不当な殺戮の廃止を願いたい」

王が答えるより

側についている貴族が話す

「タヤル族は王への忠誠の証として何を差し出す」

「タヤル族にしか伝わらない魔法を使える者をこの城へ勤めさせ、今後の魔法学の発展に貢献する手助けを」

「魔力が高い民族が城に仕えることで王位を乗っ取る隙を狙い、いずれはこの国を乗っ取るつもりではないと何に証明する?」

王ではなく

何故貴族が間に入るのか

話しの中で我々を信用することは

一切なく、理由を付けては

こちらの訴えを取り下げる方向にしか

持っていかないつもりか

雫は次の手を考えていた
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