きみに想う 〜赤の民族〜
家の玄関をうるさいくらい音を立て

息切れしながら

入ると

心配そうな顔で声を掛けられた

「雫、どうしたの?」

「今、貴族が街に来てる
どうしよう、逃げようとしたらぶつかったの」

「髪は見られなかった?」

「うん、とっさにフード被ったから」

ぎゅつと抱きしめられ

「しばらくは外に出るの禁止よ」

「うん」

叔母から離れ部屋に行くと

さっきの少年を思い出した

黒髪の綺麗な子

たぶん

あの子は貴族だ

雫は恐怖を忘れるように

身体を小さくして

ベットに入った
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