きみに想う 〜赤の民族〜
4
海斗に手を引っ張られるようにして
連れて来られたのは
誰も人のいない
ドーム状の温室だった
「手痛い…」
手首を強く握っていたため
雫は少々赤くなっていた
「ごめん…」
ぱっと手を話す海斗
しばらく無言の気まずい空気が流れる
先に空気を破ったのは海斗だ
「なぜ城にいるんだ?」
「代表として王に直訴しに来たの”狩り”を止めさせるために」
また気まずい沈黙
雫は自分の心臓が破裂するんではないかと
いうくらい鳴り響いて
それが海斗に聞こえるんじゃないかと気が気でなかった
「この前、国境近くの街で会ったとき
もうオレは忘れられた記憶の中の人でしかないのか、それとも嫌われたから何も言わないのかと
頭の中いっぱいいっぱいだった」
頭に手をやり
1つため息をこぼし
まっすぐな目で雫を見る海斗
「でもさっきオレの名前呼んだよな?」
海斗の視線が痛い
「より美人になったね、海斗」
ドキドキが伝わないように
冗談っぽく返すのが精一杯だ
「お前だって…」
海斗は女っぽくなったと言いたかったか
恥ずかしくてそれ以上は言えなかった
何より自分のことを覚えているといった
その一言が何よりも
海斗は嬉しかった
「わたし、しばらくは王都にいることになりそうなの。みんなが心配していると思うから、もう行くね」
ぱっと咄嗟に
背を向けた雫の服の裾を掴む海斗
「また会えるかな?」
頷き微笑みを返し
去って行く雫
海斗は顔が真っ赤になっていた
「その頷き方は反則だろ…」
雫に聞こえないように
口元を手で覆う海斗だった
連れて来られたのは
誰も人のいない
ドーム状の温室だった
「手痛い…」
手首を強く握っていたため
雫は少々赤くなっていた
「ごめん…」
ぱっと手を話す海斗
しばらく無言の気まずい空気が流れる
先に空気を破ったのは海斗だ
「なぜ城にいるんだ?」
「代表として王に直訴しに来たの”狩り”を止めさせるために」
また気まずい沈黙
雫は自分の心臓が破裂するんではないかと
いうくらい鳴り響いて
それが海斗に聞こえるんじゃないかと気が気でなかった
「この前、国境近くの街で会ったとき
もうオレは忘れられた記憶の中の人でしかないのか、それとも嫌われたから何も言わないのかと
頭の中いっぱいいっぱいだった」
頭に手をやり
1つため息をこぼし
まっすぐな目で雫を見る海斗
「でもさっきオレの名前呼んだよな?」
海斗の視線が痛い
「より美人になったね、海斗」
ドキドキが伝わないように
冗談っぽく返すのが精一杯だ
「お前だって…」
海斗は女っぽくなったと言いたかったか
恥ずかしくてそれ以上は言えなかった
何より自分のことを覚えているといった
その一言が何よりも
海斗は嬉しかった
「わたし、しばらくは王都にいることになりそうなの。みんなが心配していると思うから、もう行くね」
ぱっと咄嗟に
背を向けた雫の服の裾を掴む海斗
「また会えるかな?」
頷き微笑みを返し
去って行く雫
海斗は顔が真っ赤になっていた
「その頷き方は反則だろ…」
雫に聞こえないように
口元を手で覆う海斗だった