きみに想う 〜赤の民族〜
夜温室に行くと

海斗のほうが先に来て座っていた

雫をみると安心したように顔が明るくなった

「来ないかと思った」

「やっぱり表情豊かになったね」

隣に座ろうとすると

小さな石につまづき

前によろけると

海斗が素早く雫を支えた

「大丈夫か?」

逞しい腕が軽々と支えたことに

何故か雫は顔が赤くなるのがわかり

さっと顔を背けた

転んだ拍子にスカートが膝までめくれ上がり

そのまま気づかぬうちに

座ろうとすると

海斗が雫の足を触れ

少しスカートをめくった

「ちょっと!!」

「この痣どうしたんだ?」

海斗が指指すのは

膝上から太ももにかけて出来た

大きな痣

「ある女官に因縁をつけられて
ちょっと反抗したら、掃除増やされて
イライラして掃除してたら椅子にぶつけたの」

海斗は痣を優しく撫でる

「ちょっ!やめて本当に」

恥ずかしくなった雫が抗議すると

海斗はピタッと辞めたが

「どこの女官?」

「聞いてどうするつもり?
やめてよね!海斗に守ってもらうほど弱くない」

かわいくない言い方であるとは

雫も気づいていた

海斗が心配してくれることも

だけど口から出る言葉は止まらない

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