きみに想う 〜赤の民族〜
「あぁ、ごめん先客がいたんだ」

黒い髪の綺麗な男の子

先日の子であると気づいた雫だが

綺麗な顔に不自然なほどの

何も映してないような

暗い瞳をしていることに目が行き

立ち去ろうとしたが

足が動かなかった

「綺麗なところだね」

言葉とは裏腹に

感情が見て取れない顔

何も言わずに

ただ立ち尽くしていると

「ぼくもここに座っていい?」

雫は一言も話さず

沈黙のまましばらく

2人で座っていた
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