きみに想う 〜赤の民族〜
ドンという鈍い音が

辺りに鳴り響く

「海斗ー」

風で雷を飛ばし

飛び込んで雫を包むようにして

倒れた海斗を雫は叩く

12年前の記憶がフラッシュバックする

あの時も海斗は自分の前に立った

でも今回はさらに厳しい魔力の中に立った

魔力を持たないものは

魔力の放つ気だけで、身体に影響を及ぼす

魔力が渦巻く中に

それも相手を殺す気でいる魔力の中に入るなど

自殺行為に等しい

息子が目の前で

それも自分の魔法により

倒れたのに

平然としている男

平然どころか、次の狙いを定め

死んでも構わないという態度た

雫は、そこにある

海斗の剣を手に取り

全力で魔力を剣に込め

相手へと振り切った
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