きみに想う 〜赤の民族〜
男は音もなく王に近づき

振り上げるようにして剣を王にかざす

とっさに王の前にでて

陸が剣を光の剣で受けとめる

「狂ってるな、その姿でも権力を欲するなんて」

父の姿を父とは見ていない

雫により致命傷を与えられ

赤く染まる身体に白い顔

死に絶える寸前にまで

権力にしがみつく貪欲さ

「貴方はまだ僕を信じられないでしょ?
貴方も僕も一緒ですよ」

陸は王に背を向けたまま

父に向かって、剣を放つ

王は黙って見ており

雫は目の覚めない海斗の側で膝をついて見ていた

これ以上争いを続けようとする者はなく

貴族、タヤル族と双方の犠牲者を出した争いは

終わりを迎えようとしている

長老が王の前に進みでる
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