きみに想う 〜赤の民族〜
「若き新王よ!
わたしは、このタヤルの長である
争いを止めたことには感謝しよう
ただ我々が長年の不当に扱われた記憶、及び心の傷は決して消えぬ。新王はそれらをどう考える?」

滅多に人前には現れない長老

白に赤が混じった不思議な長い髪

男とも女とも見える

中性的な美貌に堂々とした威厳ある態度に

人は魅入られる

「俺は、今まで城の外で生活をしてきた
一民として。その中でもタヤル狩りは許せないと思っていた。王となって初めてやりたいと思っていたことを実現しただけ。今は今後のことまでは考えてない!」

新王は神々しい金髪に

輝く宝石のような翡翠色の濁りのない

瞳を堂々と長老に向ける

まだ幼さすら残る少年の見た目に

純粋な気持ちが伺える

「これから王家に生まれた者として
国を立て直す義務が俺にはある
国は王や貴族だけじゃない、民があってこそ成り立つものだ。俺は民の意見を取り入れて新たな国を作ろうと思ってる。それは古き良き時代より生きてこの地にいるタヤル族も同じだ」

堂々とはっきりとした目標を持つ若き新王

長老は真意を問いただすような目を向け

新王に言葉を渡す

「若き新王よ
その気持ちが薄れぬ限り、我らは見届けよう」

うわぁーと歓声が上がる

白の騎士及び青の騎士も現場に

駆けつけ、過激派貴族達を

王の命により1人残らず捕らえた

長い民族構想は

新しい王によって閉じられ

新たな一歩を踏み出した
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